【本】日本のいきもの図鑑
前園泰徳さんという農学博士の方の著書。
ご本人の紹介文が「ヒト科 1.8m 見られる季節:通年 見られる場所:南西諸島」となっていたり、経歴の表現にもなかなかのツンデレみがあります。
掲載されている生き物のデータは、写真、分類と大きさ、観察出来る季節や時間帯などがざっくり記されていて、項目は森・山、海辺、水田・畑、などと言った具合に、環境別に分けられている。
使い方としては予習的にこういった場所にはこんな生き物がいるのだなと想定する知識を蓄えるような本だと思う。
実際に出会えたときにそれが何か分かる、見当が付けられるというのは色々と楽しいし、強い。
読み物としても面白いのは紹介の本文で、生き物のデータ以外に実際に著者がその生き物に接した個人的な感想や疑問、その生き物の在り方、あるいはヒトとの関わり方に関して著書が抱く感情など、あまり図鑑では見かけない飾らない言葉が溢れている。
例えばp159ハヤブサの項目では「僕には一度、たった3mの距離で10分間も見つめ合ってしまったという信じられないような接近遭遇経験がある。」なんて記述があって、自慢じゃないか!という塩梅である。
しかしこの型破りな紹介文は何とも言えず生き物への愛を感じられて、自分もこの生き物と出会いたい!と思わされる。
こちらは郊外編と都会編があって、個人的には都会編の方が使用頻度は高そうだった。
大方が「都会にしかいない生き物」ではなく「都会にもいる、ましてや郊外には言うまでもなくいる生き物」という感じなので、郊外であっても頻繁に見かける種がたくさん載っている。
ヒメノコメエダシャク
秋、11月、お尻を曲げている、蛾、あたりで検索したらヒットしました。
オオノコメエダシャクとヒメノコメエダシャクの二種は姿形がよく似ている。
名前からしてオオノコメが大きく、ヒメノコメが小さいのだろうと思いきや大きさでは判別出来ないらしい。
みんなで作る〜の比較ページによれば前翅の頂の鎌状に抉れた部分が見分けるポイントのひとつ。
写真の個体は触角が櫛状で、前翅頂のカーブが緩やかなのでヒメノコメエダシャクのオスということになるのでしょう。
ヒメノコメエダシャクは少し古い記述においてはキブシノコメエダシャクと呼ばれている。
幼虫の食草がキブシという植物なので、という理由のようだけど、じゃあオオノコメはキブシを食べないのか?と思ったらそんなことはなくて、オオノコメエダシャクも幼虫はキブシを食べる。
そしてどちらも、キブシ以外のものも食べる。
クリオオアブラムシ
ウバメガシの枝に大量発生している大きなアブラムシ。
ウバメガシ、黒い、アブラムシ、大きい、あたりで検索するとクリの木の害虫として紹介されているページを見つけました。
ウバメガシの他にクヌギやコナラにも付くとのこと。
正直アブラムシの同定ポイントはよく分からず、今のところ付いている植物と色、大きさから判断するのみです。
このウバメガシはさほど大きな木ではないのだけど、見える範囲だけでナナホシテントウばかり5匹以上見つかりました。
お目当てはこのアブラムシたちなんでしょうね。
アリもいましたがテントウムシと衝突している風でもない。
しばらく眺めてみたものの、テントウムシがアブラムシを食べている様子というのは分かりにくいのか、それともちょうど休憩中だったのか、明らかに捕食していると分かる場面は見られませんでした。
翌週追記
2019.11.12
同じウバメガシですが、目の届く範囲には1匹もおらず。
テントウムシ恐るべし…なのか、あるいはアブラムシが越冬準備で移動したのか。
アブラムシはいなくなったのに相変わらずナナホシテントウはこの木に数匹留まっているのが見つかりました。
アケビコノハ幼虫かんさつにっき
2019.09.07
上の2枚は朝と夕方。
歩道のすぐ横にあるアベリアの植え込みに絡んだミツバアケビについていた。
眼状紋はひとつだけはっきりしていて、後ろの方は中央の黒目にあたる部分が体色のまま。
まだこれから色が入るのかな?
2019.09.08
翌朝、あまり動かないようで同じ場所にいる。
周りの葉は少し減っているものの、まだ残っている方が多い。
体を仰け反らせて葉を食べながら、目の前でお尻を動かしポトリと糞を落とした。
そっと体に触ってみるが特に反応せず。
食べるのはやめたが怒る様子もなく、じっとしている。
すべすべひんやりした感触。
2019.09.08
夕方。大きさは70mm程度か、このときは食べていない。
蛹が近いならもう食べないのかも。
眼状紋はどうやらこれで完成形?
アケビコノハは地面には降りず葉の上で繭を作って蛹になるらしい。
このまま覗いていれば蛹を見つけられるかな。
結構目立っているので鳥にやられないか心配。
2019.09.09
と思いきや、今日は茎までかじっている。
手にのせたいが…この場所からいなくなってしまうと悲しいので堪えている。
カメラを近付けても平気で食べ続けている。
2019.09.10
まだモリモリ食べている。
このあとしばらくしてもう一度覗いたところいつもの葉におらず、少し探すと地面に落ちていた。
指につかまらせると頭をぶんぶん振ってお怒りの様子。随分気が立っている。
何かいたのかと思い、定位置の周りを確認したがカマキリなどがいる様子もない。
アリにでも噛まれたのかもしれないと考えて少し離れた葉に乗り移らせた。
ずんずんツルを登っていくのでいなくなったら寂しいなと不安になったが仕方ない。
翌朝見るとやはりいなかった。
移動してしまったのか、鳥にでもやられたか…
もっと別なところに移してやれば良かったかと後悔しきりである。
2019.09.07
同じミツバアケビに小さいのもいる。
こちらは黒い。
奥まったところにいて出てこない。
2019.09.09
あまり大きくなっている気がしないが多分同じ個体。
見る限り穏やかに過ごしているようだが例のあのポーズ。
威嚇のときだけじゃなく休むときもこの姿勢なのかな?
ツマキシャチホコ
タカサゴツマキシャチホコらしき個体を見つけたので、ツマキシャチホコとの違いを確認した覚え書き。
ツマキシャチホコが最もよく見られる種類らしいので、まあ大体ツマキなんだろうと思ってます。
参考にしたのはこちら。
やさしいガの図鑑(似たガの比較)
http://yokonami.web.fc2.com/4tumaki.htm
見つけたのはこちら。
ざっくりいうと翅の先の白抜きみたいになったところ、この内側が黒で縁取られているとタカサゴ、紅色だとツマキ、ということみたい。
他にも前翅の中程にある腎状紋や後翅の前側が白っぽい、みたいな特徴も載っているんですが、腎状紋ははっきりしないし、後翅なんかまったく見せてくれる気配もない。
悩んだ結果、黒いものは黒い!ということでタカサゴシャチホコとして登録しました。
こういうとき複数あるうちのひとつの特徴に頼って良いものかなと悩みます。
少なくともひとつでも満たしていればこれと分かる、なら嬉しいんだけど、相手は生き物だし変異や個体差もあるだろうし、なかなかそういうわけにもいかないんだろうな。
まあ、そこが楽しい、とも言える。
アオケンモンの幼虫のはなし
みんなで作る日本産蛾類図鑑(アオケンモン)
http://www.jpmoth.org/Noctuidae/Acronictinae/Belciades_niveola.html
こちらの写真を見てアオケンモンの幼虫は「水色と黄緑の地色に黒い斑紋と白い毛の毛虫」だと思っていた。
しかしイモムシハンドブック2を見ると地色は黄白色とある。
イモハンの写真を見る限り黒い斑紋と白い毛は同じなので、そうは書いていないけれど、配色パターンが二つ(あるいはそれ以上)あるタイプなのかな。
で、何故見つけたこともないアオケンモンの話なのかというと、これと同じ柄の赤い毛虫の写真をbiomeで見かけたからです。
赤っぽいとかじゃなく、真っ赤。
鮮やかな赤色の毛虫。
気になって検索してみたけれど「赤い毛虫」だと出てこない。
「真紅、毛虫」とか単語を変えてみてもダメ。
ツマグロヒョウモンの幼虫なんかが出てくる。
確かに赤い模様だけどあれは黒い幼虫だと思う。
こんなに分かりやすい見た目なのに!と少し躍起になって探しながら、もしかして蛹になる前の一時的な変色?とぼんやり考え始める。
それなら「赤い毛虫」としてヒットしないのも分かる。
蛹になる前に赤っぽくなる幼虫というのは結構いるみたいで、biomeでもちらほら見かける。
スズメガの仲間の幼虫なんか、ピンク色になったり赤紫色になったりしている。
アオケンモンの幼虫は、元々かなり鮮やかな色をしているから、「鮮やかな赤色の毛虫」になるんじゃないか?
そういう訳でもなければ、もっとふつうに写真が出てくるんじゃないか?
そう考えながら色々検索ワードを変えていくとアオケンモンが赤くなるんじゃなかろうか、と推測しているブログに出会った。
それが、検索しすぎて今となってはどのタイミングで、何のキーワードで検索したのか分からなくなるあるある。
履歴も幼虫関係だらけで探しきれず…
また見つけたらリンクを貼らせていただこうと思う。
とりあえず、biomeで見かけたのそれぐらい鮮やかな赤色の毛虫だった。
自分で撮ってみたいけど、まずアオケンモンの幼虫が食べるというシナノキを近所に見つけるのが先決だな。
ベニスズメ成虫
憧れのスズメガ。
初めて出会ったのはこちら、ベニスズメ!
すごいピンク。
もっと緑ベースだと思っていた。
夕陽で赤いとかじゃない。
撮ったのは午前中です。
草むらに普通にいました。びっくり。
腹側もピンク。
バンザイしています。
可愛いぃいい…
こんな可愛いものを手に載せずにいられるだろうかいやいられない、というわけでもちろん手に乗り移っていただいた。
顔まで可愛い。
女の子かな?べっぴんさん…
翅も欠けず、元気な個体でした。
しばらく手の上をもたもた動き回ったあと、バサバサはばたいて飛んでいった。
本当に小鳥のような存在感。
幼虫も見てみたい。
眼状紋があって褐色、ずんぐりした寸詰まりのヘビみたいなのがベニスズメの幼虫です。
まずそれが生えている場所を探さないと…
植えるべきか?